転倒・転落(インシデント・アクシデント事例)

病院の医療安全|インシデント・アクシデント事例

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インシデント・アクシデントの事例を記載します。

レベル分類は ”事例レベル分類表” で記載したレベル分類に合わせています。

(☑○○○ ⇒ ☑○○○)は、 ”インシデント・アクシデント報告書” で記載している「インシデント・アクシデント報告書」のチェック箇所をあらわしています。










”転倒・転落”のインシデント・アクシデント事例について




”転倒” ”転落” の事故は、特に起こりやすいインシデント・アクシデントの一つであり、その要因として以下のものがあげられます。

 ① 看護師・介護士等の見守りの有無や方法
   : 夜勤時の人員不足による見守り不足など

 ② 移乗などの介護方法
   : ベッドから車椅子への移乗時など

 ③ ベッドやベッド周囲の状況、行動範囲の環境
   : ベッド柵の有無、ポータブルトイレの位置など

 ④ 患者様の心身状況(病状、精神、薬剤など)
   : 脳梗塞による運動障害、パーキンソン病による運動障害など


要因への対策としては、患者様ごとへの対応が必須であり、アセスメントシートなどを活用し行っていく必要があります。

また、転倒、転落時には、頭部外傷による硬膜下血腫、手関節の骨折、大腿骨頚部骨折が起こりやすいことを念頭にし、常日頃から病棟カンファレンス等で、リハビリスタッフ、看護師、介護士等が連携し、患者様ごとの体制作りをすることが必要です。










「転倒・転落」 インシデント・アクシデント事例1




発見者 : 介護士

患者情報 : 90歳 脳梗塞後遺症 認知症あり

発生の状況 :
病棟詰所で作業中に、「ガタン」と音がしたので慌てて病室へ向かった。病室では患者Aが床に側臥位の状態になられていた。すぐに起こしベッドに座らせケガの確認をした。手首の部分を打っていたので、看護師に報告した。
レントゲン撮影、受傷部に骨折はなし。

対応について :
・可能であれば、車いすで見守りができるようにする。
・発見時に、すぐにベッドへ座らせているが、骨折の有無や頭部の外傷も考慮し、ケガの確認を先にすることを優先すべき。その際、一人で対応せず先に看護師を呼ぶことが必要。











「転倒・転落」 インシデント・アクシデント事例2




発見者 : 介護士

患者情報 : 88歳 中大脳動脈血栓症 認知症あり

発生の状況 :
患者Aの呼ぶ声がしたので訪室すると、患者Aがベッドから床へ転落しているのを発見した。すぐにベッドに乗せ、痛いところがないか本人へ確認を行った。本人より痛みの訴えがなく経過観察とした。

対応について :
・発見時に、すぐにベッドへ座らせているが、骨折の有無や頭部の外傷も考慮し、ケガの確認を先にすることを優先すべき。その際、一人で対応せず先に看護師を呼ぶことが必要。
・認知症がある患者様は、痛みの訴えをしなくても、骨折など受傷されていることがあるため、本人への確認と同時に、実際に全身を触れながら確認することも必要。










「転倒・転落」 インシデント・アクシデント事例3




発見者 : 看護師

患者情報 : 78歳 変形性腰痛症 認知症あり

発生の状況 :
「看護婦さん」と呼ぶ声が聞こえ訪室した。ベッドの側に倒れこんでいる患者Aを発見する。患者様本人へ確認をすると、床頭台の上に置いてあったオムツを取ろうとして立ち上がった際に、車いすのブレーキをかけていなかったため、車いすがずれて転倒してしまったとの訴えがあった。

対応について :
・患者Aは、オムツの着用を介護士の補助をもらい行っていた。そのため、オムツは床頭台の上ではなく、きちんと別の場所へ保管する必要があるが、それを怠っていたことに原因がある。










「転倒・転落」 インシデント・アクシデント事例4




発見者 : 看護師

患者情報 : 87歳 混合型認知症 右大腿骨頚部骨折術後 認知症あり

発生の状況 :
尿測のため女子トイレに行くと、汚水槽の前に右側臥位になっているのを発見する。どのように転倒したのか不明であり、本人に確認するも、打撲の訴えもないため、要観察とした。

対応について :
・認知症があるため、打撲の訴えがなくとも、皮膚剥離や骨折等起こってないか確認が必要。
・右側臥位になっていたため、術後の筋力低下による転倒も考えられる。担当リハビリスタッフと見守りの程度を確認することが必要。










「転倒・転落」 インシデント・アクシデント事例5




発見者 : 看護師

患者情報 : 78歳 変形性腰痛症 認知症あり

発生の状況 :
「だれかー、だれかー」と叫び声がしたため訪室した。部屋では、患者様が車いすから転落し、床に両足を伸ばした状態で座っていた。本人に尋ねると、レクリエーションに参加中トイレに行った際、リハビリパンツを汚してしまったため、部屋で着替えていた時に転倒したとのことであった。

対応について :
・認知症があるため、皮膚剥離や骨折等起こってないか注意深く確認が必要。
・寝たきりでの生活でない限り、日常の生活動作に対しリスクが伴うことを考慮し、見守りができる環境など工夫が必要。