高齢者のインシデント・アクシデント

病院の医療安全|インシデント・アクシデント事例

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高齢者のインシデント・アクシデント事例で特に多いもの




高齢者においては、転倒・転落・誤嚥などについて ”インシデント・アクシデント” が多くなります。


 転倒 ・・・ 歩行中の転倒、座位を保てず転倒 など


 転落 ・・・ 車イスからの転落、ベッドからの転落 など


 誤嚥、誤飲 ・・・ 飲食物以外にも唾液の誤飲もある


 骨折、皮膚剥離 ・・・ おむつ交換時の骨折、移乗時の皮膚剥離 など


 食中毒、感染症 ・・・ ノロウイルス、インフルエンザ など


 その他 ・・・ 患者様同士のトラブル(ケガ、物損) など










転倒




”転倒” は、高齢者にとって最も多いヒヤリハットになります。

その原因は主に筋力低下によるものです。

転倒時に多い事例を記載します。


  ◇ 歩行中につまづき転倒した。
    頭部を打撲し挫傷したため、縫合処置をし要観察とした。


  ◇ 歩行中につまづき転倒した。
    頭部を激しく打ったため、頭部CTを撮影した。
    硬膜外血腫(頭の中の出血)が見つかった。


  ◇ 歩行中につまづき転倒した。
    転倒時に手をついたが、手首に痛みを訴え、腫れだした。
    レントゲン撮影後、橈骨遠位端骨折(手首の骨折)が見つかった。


  ◇ 歩行中につまづき転倒した。
    転倒後に足の付け根の痛みを訴えたためレントゲン撮影を行った。
    大腿骨頚部骨折が見つかった。


上記のように、 ”転倒” することにより、頭の中に出血したり、骨折をしてしまうことがあります。

認知症の方は、頭部の痛みや骨折の痛みなどを訴えない場合があるので、特に転倒後の観察には注意が必要です。

転倒した場合には、身体の状態を確認し、必要に応じてレントゲンなどの検査をすることが重要になります。










転落




”転落” は、ベッドや車イスからの転落になりますが、そのほとんどが高齢者によるものです。


  ◇ ベッドから車いすに移るときにベッドから転落した。


  ◇ ベッドからポータブルトイレに移ろうとしてベッドから転落した。
    

  ◇ デイルームで患者様が車イスから滑落されていた。


”転落” も「転倒」と同様に、頭部を打つ可能性や骨折する可能性などがあります。










誤嚥・誤飲




高齢になるにつれ、嚥下機能(食べ物や飲み物を飲み込む機能)は低下していきます。

また、脳疾患の既往がある方や寝たきりの方については、嚥下反射(気管に物が入ったときに咳が出る反応)の機能も低下していきます。

特に、寝たきりの方は食べ物だけではなく、唾液が気管から入ることにより、肺炎を起こすことが多く、そのような肺炎は「誤嚥性肺炎」と呼ばれます。










骨折、皮膚剥離




病院で寝たきりの患者様は、入浴介助、体位交換、おむつ交換など様々な介助が必要になります。

そして、多くの介助が必要ということは、多くのヒヤリハットが潜んでいることになります。


  ◇ 寝たきりで拘縮も強い患者様のおむつ交換を実施した。
    交換時、強く足を広げすぎたため、足の骨を折ってしまった。


  ◇ 患者様をストレッチャーへ移乗させるときに、皮膚剥離を起こしてしまった。


寝たきりになるほど、体の拘縮は強くなります。

また、寝たきりで体を動かしていない分、骨ももろくなっていきます。

そのような状態で、無理に関節を動かすと、骨を折ってしまう場合があるので注意が必要です。

腎機能が低下している患者様では、体の水分を外に出す機能が低下している状態にあります。

そのため、腕や足に浮腫を起こし、皮膚剥離を起こしやすい状態にあることがあります。










食中毒、感染症




ノロウイルスやインフルエンザなどの感染症は、病院や施設でしごされている患者様は特に注意が必要な感染症になります。

感染経路はさまざまで、 「お見舞いに来られた方からの感染」 「職員からの感染」 などがあります。

特に高齢になるほど、感染から状態が悪化することもあります。


食中毒は一人暮らしの高齢者に多い感染症です。

  ・夏場にテーブルの上に長い期間置いていたお菓子を食べる。
  ・賞味期限切れの食材を使用して調理をする。
  ・かなり前に調理をしたものを食べてしまう。

特に夏場が多く、食中毒から脱水になってしまうこともあります。










その他




病院や施設ですごされている患者様や入居者様も人間です。

個人的な感情があり、患者様、入居者様同士で仲が良い悪いがあります。

病院や施設ですごす場合には、共同生活の場ということもあり、仲が良い悪いということがあっても、顔をまったく合わせないということは不可能に近い部分があります。

そのため、どうしても 「言い合い」 「暴力」 などの ”トラブル” が起きてしまうことがあります。

口喧嘩ですめばよいのですが、 ”暴力によるケガ” ”突飛ばされて転倒し骨折” など大きな問題に発展することもあるので注意が必要になります。